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上野 文義; 小松 篤史; 五十嵐 誉廣; 山本 正弘
Proceedings of European Corrosion Congress 2014 (EUROCORR 2014) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2014/09
本報告では、沸騰硝酸中でのステンレス鋼の粒界腐食挙動を理解するため、粒界での微量のリン偏析が粒界腐食進展に及ぼす影響について検討した。超高純度310ステンレス合金(310EHP)にリンを添加し、硝酸中で腐食試験を行うとともに、粒界のリン濃度を3次元アトムプローブを用いて分析した。粒界のリンの分布と粒界腐食進展関係を調べるためにセルオートマトン法を用いた計算解析を行った。その結果、リンが約1.4at%程度に偏析することによって粒界腐食が顕著になることを明らかにした。また、開発した計算解析法により、リン分布の影響による粒界腐食の変化を再現できることを示した。
根本 義之; 三輪 幸夫; 辻 宏和; 塚田 隆
日本AEM学会誌, 11(4), p.242 - 248, 2003/12
現在、軽水炉の高経年化との関連において重要な検討課題とされているオーステナイト・ステンレス鋼の照射誘起応力腐食割れ(IASCC: Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking)の基礎的な研究のため、照射材における腐食挙動の評価方法の開発及び解析を行った。イオン照射を適用し、照射温度,照射損傷量,ヘリウム(He)注入量を変化させて照射を行った。照射材の腐食挙動の評価には原子間力顕微鏡(AFM: Atomic Force Microscope)を適用し、その評価のために最適な腐食条件などについて検討した。その結果、照射材の腐食挙動の評価方法を開発し、粒界及び粒内の腐食挙動について評価を行った。方位像顕微鏡(EBSP: Electron Backscatter Difraction Pattern)による観察結果との組合せにより、粒界性格と腐食挙動の相関について検討した。また照射条件と腐食挙動の相関について検討した。
竹内 正行; 藤咲 和彦*; 根本 健志*; 小泉 務; 小山 智造
JNC TN8410 2001-013, 255 Pages, 2001/05
本耐久試験は東海再処理工場の当時のステンレス鋼製酸回収蒸発缶を非鉄材料のTi-5TaまたはZrに材質変更する計画の一環として進められた。この結果、Ti-5Ta製およびZr製酸回収蒸発缶小型モックアップ試験設備(処理能力:東海再処理工場の酸回収蒸発缶の1/27)の設計・製作、さらに本装置による運転試験を通して、Ti-5Ta製およびZr各材料がステンレス鋼に代わる新材料として、酸回収蒸発缶の製作性や機器性能の面で問題のないことが実証された。また、それまでのステンレス鋼製酸回収蒸発缶の大きな課題であった長期耐食性についても、コールド環境での評価であるものの、製作したTi-5Ta製およびZr製酸回収蒸発缶小型モックアップ試験設備がこれまでのステンレス鋼製酸回収蒸発缶の最大処理実績(約13,000時間)をはるかに凌ぎ、最終的には累積40,000時間に及ぶ両蒸発缶の長期耐久性が実証された。この運転期間中、大きな設備の異常や故障等は特に認められず、安定した運転を継続してきた。また、長期運転試験後の評価結果から、材料強度の問題を含めて両蒸発缶は健全な状態を維持していた。さらに東海再処理工場におけるステンレス鋼製酸回収蒸発缶の腐食故障の要因となった粒界腐食についても、Ti-5Ta製およびZr製酸回収蒸発缶全体を通じて観察されなかった。両蒸発缶の腐食量については、Ti-5Ta製蒸発缶の気相部においてわずかながら経時的な減肉傾向が認められたが、他の部位およびZr製蒸発缶では有意な減肉は認められず、全体的に腐食速度は両蒸発缶ともに0.1mm/y以下であり、優れた耐食性を示した。運転期間中、両構造材料は不働態を維持し、缶内に設置したテストピースの結果から、応力腐食割れの感受性も認められなかった。さらに、Ti-5Ta製蒸発缶で認められた気相部の減肉傾向から、統計解析法を用いてTi-5Ta製蒸発缶の装置寿命(腐食代1mm)を評価した結果、最低約55,000時間と見積もられた。以上の結果から、酸回収蒸発缶の装置材料としてTi-5TaおよびZrが適用可能であることが示されるとともに、特に長期耐食性の観点からは両材料ともに実績のあるステンレス鋼よりもはるかに優れていることが実証された。
土井 正充; 木内 清; 矢野 昌也*; 関山 喜雄*
JAERI-Research 2001-020, 17 Pages, 2001/03
再処理施設の酸回収蒸発缶等を想定して、伝熱面腐食を支配する硝酸側環境因子の基礎解析を行った。現用鋼である、R-SUS3304ULCを用いて、溶液中のV濃度、熱流速の伝熱面腐食に与える影響を調べるとともに、金属組織制御により粒界腐食を抑制したステンレス鋼及び防食造膜元素を複合添加したNi基合金の耐食性についても調査した。
斉藤 淳一; 森永 正彦*; 加納 茂機
PNC TN9410 98-072, 97 Pages, 1998/07
高温アルカリ金属のフロンティア領域を開拓するために、高温液体Liの過酷な環境下で使用できる構造材料の研究開発を推進してきている。その条件下で使用される材料としてNbおよびMoの高融点金属を基とした超耐熱合金に着目した。液体リチウム中の腐食特性、クリープおよび引張強度等の高温での機械的特性は最も重要な特性の一つであり、高温(1473K)でのリチウム耐食性と機械的特性の多くの実験や解析により、NbおよびMo基合金の設計開発を進めてきた。本報告書は、これまで実施してきたNb基およびMo基超耐熱合金のLi腐食試験結果を系統的にまとめ、解析結果より腐食機構を提案するとともに、表面の腐食生成物の生成機構とNb基合金の表面クラックの生成機構を解明したものである。主な結果は下記のとおりである。(1)腐食生成物の生成機構は、溶出金属とLi中の窒素の間で最初に反応が起こり、腐食生成物(窒化物)が表面に析出し、その後、溶出金属どうしの反応が生じ腐食生成物(金属間化合物)が表面に析出する。これらの生成機構により、腐食生成物の成分を予測できることがわかった。(2)クラック生成メカニズムでは、化学ポテンシャル図を用いることによりクラック発生の原因となる3元系酸化物の形成を理解することができた。その結果、合金中の固溶酸素だけでなく試験中に表面から侵入してくるLiの濃度も3元系酸化物の形成に重要であることが明らかになった。
舘 義昭; 平川 康; 加納 茂機; 吉田 英一
PNC TN9410 98-054, 57 Pages, 1998/01
高温ナトリウム(以下、Naと記す)を冷却材に使用している高速炉プラントの高性能化(高温化、高耐食性化)を図ることを目的に、その機器・構造物の一部にこれまでの金属材料に代わる新型セラミックスの適用をフロンティア研究の一つとして進めている。セラミックスのNaによる腐食形態は、主に粒界腐食であることが古くから知られており、特に非酸化物系セラミックスでは焼結助剤成分によって耐食性に大きな影響を受けることがこれまでの研究から明らかになっている。今回、セラミックスの粒界部を構成するMgO,Y2O3,AlN等の代表的な焼結助剤成分のNa中腐食試験を実施し、その腐食挙動を重量変化、組織観察、元素分布変化等の分析により評価した。その結果、以下に示すことが明らかになり、耐Na腐食性セラミックス創製について有益な知見が得られた。(1)MgOの耐Na腐食性は不純物Siの影響が大きく、Si含有量の多いものは著しい腐食を受け、少ないものは良好な耐腐食を示した。(2)Y2O3およびAlNはいずれもSiの含有量が少なく、Naに対して良好な耐食性を示した。(3)MgO,Y2O3およびAlNは、SiO2の存在下では、Naとの化学的相互作用により腐食を受けるこが考えられる。そのため、MgO,Y2O3およびAlNを含むセラミックスの耐食性向上のためには、これらの純度管理とともに母材成分の純度管理を原料粉末の時点から行う必要があり、SiO2の混入を極力防ぐことが重要である。
竹内 正行; 川野邉 一則*; 永井 崇之; 大橋 和夫; 武田 誠一郎
PNC TN8410 97-104, 56 Pages, 1997/04
(目的)再処理溶液中に腐食生成物として存在するクロム(以下,「Cr」という)を対象に,ステンレス鋼の腐食に与える影響および粒界選択型の腐食加速機構について調査し,特に影響の大きいCr(6)の酸化生成条件等を中心に検討する。(方法)ステンレス鋼の腐食に与えるCrの影響を評価する手法として,材料浸漬試験および電気化学試験を行った。また,粒界腐食の要因とされる微量元素の粒界偏析に関しては,オージェ電子分光法により粒表面および粒界の組成を比較することで評価した。さらに,Crの酸化反応条件について検討するため,硝酸濃度,溶液温度をパラメータとしたCr(3)共存溶液の加熱試験を実施するとともに,溶液のPt電位測定および試験後におけるCr(6)の定量分析等を行った。(結果)本試験の結果から,得られた主な知見を以下に示す。(1)浸漬試験および電気化学試験結果から,同じ元素種でも,Cr(3)に比較して,Cr(6)の共存環境ではステンレス鋼の腐食電位が高電位側に移行し,粒界腐食を伴う腐食速度の著しい増加が認められた。(2)粒界腐食機構の要因とされる微量元素の粒界偏析については,オージェ電子分光法による測定では観察できなかった。(3)180時間程度の加熱試験結果から,沸点の条件では,酸化生成したCr(6)が硝酸濃度4M以上で定量的に検出された。(4)非破壊吸光光度法によるCrを指標としたステンレス鋼の腐食モニタリングで得られた腐食速度は腐食減少量からの算出値より低い値が得られた。(結論)ステンレス鋼の腐食に対するCrの影響はCr(3)に比べて、Cr(6)の共存環境で顕著である。この要因は硝酸よりもポテンシャルの高いCr(6)の酸化作用にあり,Cr(6)は高温,高濃度硝酸環境で酸化生成する可能性が示唆された。
not registered
PNC TJ1407 94-001, 56 Pages, 1994/12
II価の銀イオンに関する電解試験の一環として、Ag2+を含む硝酸溶液中におけるステンレス鋼の腐食データの採取ならびに電気化学的な方法(電解還元)による銀の回収方法について検討し、以下の結果を得た。(1)Ag2+を含む硝酸溶液中においてステンレス鋼304Lは、粒界腐食を呈し、腐食は著しく促進される。(2)ステンレス鋼304Lの腐食速度は、Ag2+濃度に依存し、直線的に増加する。(3)硝酸溶液中における銀の還元電位を明らかにし、その電位において作用電極表面に銀が電析したことを確認した。(4)銀の電析率に及ぼす、不純物元素の影響はない。
森永 正彦*; 加納 茂機; 井上 聡*; 斎藤 淳一*; 舘 義昭; 湯沢 利勝*; 真鍋 勝也*
PNC TY9623 94-004, 87 Pages, 1994/03
【目的】液体Li冷却高速炉用の構造材料として、Nb基およびMo基合金を候補材料として選択し、その材料設計と特性評価を行い昨年度までに暫定的第1次選定合金を選択した。本研究では、これらの合金の硬さ、曲げ加工性ならびにLiに対する耐食性に関する実験を行い、暫定的第1次選定合金の特性評価を行うことを目的とする。【実験および評価方法】暫定的第1次選定合金と数多くの実験合金を用いて硬さ試験を行い、強度特性を評価した。また暫定的第1次選定合金の3点曲げ試験を行い、加工性を評価した。Nb基合金では暫定的第1次選定合金以外にも数種の合金を用いて同様の試験を行い、加工性に関する合金設計上の指針について検討した。暫定的第1次選定合金については、従来の液体Na腐食試験に代わり液体Li腐食試験を初めて実施し、腐食量の変化の測定、腐食表面の観察ならびに成分分析を行った。【結果および考察】(1)硬さ試験:Nb基合金の硬さは、d軌道エネルギーレベル差により精度良く予測できることを明らかにした。しかしながらMo基合金では、d軌道エネルギーレベル差による合金硬さの予測は適用できなかった。(2)3点曲げ試験:暫定的第1次選定Nb基合金は良い曲げ加工性を示した。これに対しMo基合金の曲げ加工性は著しく低く、改善の必要があることを示した。また、Nb基合金の曲げ加工性は、合金の硬さから十分予測できることを確認した。(3)液体Li腐食試験:Nb基およびMo基合金の暫定的第1次選定合金は、1200、100時間における腐食量は少なく、粒界腐食は全くみられない良好な腐食性を示した。しかしながら、Nb基合金では腐食増量、Mo基合金では腐食減量と異なる重量変化挙動を示した。また腐食表面には粒状物が生成されていたが同定には至らなかった。【結論】最適成分合金の選定にあたり、硬さ試験、3点曲げ試験ならびに液体Li腐食試験を実施した。しかしながら明瞭な設計指針が得られず、本年度末に予定されていた第1次選定には至らなかった。
塚田 隆; 芝 清之; 中島 甫; 園部 清美; 喜多川 勇; 松島 秀夫; 関野 甫; 高橋 五志生; 糸永 文雄; 石川 明義
JAERI-M 92-169, 26 Pages, 1992/11
原子炉中性子照射が構造材料の耐食性に与える影響を調べるために、米国オークリッジ国立研究所の研究炉(ORR)において核融合炉第1壁条件を近似する中性子エネルギースペクトル調整照射を行った試料について、遠隔操作型電気化学測定装置により電気化学的再活性化(EPR)試験及び定電位電解試験を実施した。試験材料は316型ステンレス鋼であり、60,200,330,400Cで約8dpaまで照射されたものである。電気化学的腐食試験の結果として;(1)EPR試験により、400C照射材でのみ電位-電流曲線に再活性化ピークが認められた。しかし、このピークは粒界腐食によるものではなく粒内の腐食によるものであり、照射誘起偏析に起因すると考えられる。(2)定電位電解試験により、不純物元素の偏析によると考えられる粒界腐食が検出された。これらの結果を高速炉で照射した材料の電気化学的腐食試験の結果及び、照射後高温水中応力腐食割れの試験結果と比較検討した。
三宅 正宣*
PNC TJ9605 91-001, 28 Pages, 1990/10
本報告書は、『被覆管内面コーティング膜の腐食評価試験』に関する研究の一部として1990年2月20日3月30日の期間に行われた研究の成果をまとめたものである。今回の研究では、フェライト系ステンレス鋼及びコーティングステンレス鋼の内面腐食感受性を評価することを目的とし、模擬FPとして水酸化セシウムを対象とし炉外腐食試験を実施した。得られた結果は、以下のとおりである。(1)オーステナイト系ステンレス鋼2鋼種及びフェライト系ステンレス鋼1鋼種について水酸化セシウムによる腐食試験を温度500700範囲で行った。腐食試験後、オーステナイト系ステンレス鋼では粒界腐食の発生が確かめられた。一方、フェライト系ステンレス鋼では粒界腐食の発生は全く見られなかった。従って、水酸化セシウムに対するステンレス鋼の耐食性は、フェライト系の方がオーステナイト系より優れていると言える。(2)ニッケルーチタンコーティングオーステナイト系ステンレス鋼、チタンコーティングオーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウムコーティングオーステナイト系及びフェライト系ステンレス鋼については水酸化セシウムによる腐食試験を温度500700範囲で行った。ニッケルーチタンコーティングオーステナイト系ステンレス鋼、アルミニウムコーティングオーステナイト系及びフェライト系ステンレス鋼ステンレス鋼について水酸化セシウムによる腐食試験を実施したところ、コーティング層の局部剥離は見られたものの、ステンレス鋼母材に粒界腐食は全く生じなかった。チタンコーティングオーステナイト系ステンレス鋼については、粒界腐食の発生が認められた。ニッケルーチタン、アルミニウムコーティングは、ステンレス鋼被覆管母材の粒界腐食防止のためには極めて有益であると考えられる。
木内 清; 近藤 達男
鉄と鋼, 70(1), p.112 - 119, 1984/00
SUS 304などの汎用の炭化物比安定化型オーステナイトステンレス鋼は,多くの実用環境で粒界腐食(IGC)や粒界型応力腐食割れ(IGSCC)が経験され,この原因の究明や防止対策が数多く検討されてきた。材料側からみたこの原因としては,炭化物の析出温度域での加熱の際に生しる粒界部分での組織変化すなわち鈍敏化が最も重要であるとされている。IGC,IGSCC感受性は,粒戒に析出したMCの形態,Crの欠乏した層の性状およびSやPなど不純物元素の流会偏析の度合などに複雑に関係するための材料改善の方法は,鈍敏化すなわち炭化物の析出反応を抑制することにより有効に達せられることから,主として次の2つの手段が検討されてきた。
半田 宗男
JAERI-M 8688, 44 Pages, 1980/02
高速炉用ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料とステンレス鋼被覆材の化学的相互作用(FCCI)ついて、研究の現状および問題点などを総合的に整理して解説した。特に、FCCIを支配する重要な要因の一つである燃料の酸素ポテンシャルについては、その測定法、酸素の再分配現象の影響、照射燃料についての実測値など詳説した。また、FCCIの機構に関しては、従来報告されている粒界および全面腐食に加えて、最近GEから発表された高燃焼度において重要な役割を演じる被覆材成分の科学的移行(CCCT)についても紹介した。最後にFCCIによる腐食厚さの統計的取扱いおよびその防止法の開発について述べた。
川崎 正之; 野村 末雄; 近藤 達男
日本金属学会誌, 25(1), p.76 - 79, 1961/00
水冷却原子炉用材料として高温で純分名耐食性を持つAlの必要性からいままでに多くの研究がなされ、従来の耐食Alが純水には必ずしも適さず、とくに耐食的とされていた純Alが粒界腐食をうけ極めて劣性であることが判った。この腐食機構の特殊性については今日いまだ定説がない。しかるに大部分の研究が原子炉材料として要求に迫れら、実用上の試験を追う傾向にあるので本研究はなるべく単純化された条件で基本的な腐食支配因子の働きに重点をおいて観察した。実験で着目した因子は次のようなものである。(1)Alの純度、(2)Alの金属組織、(3)水の水素イオン濃度、(4)純水の溶存気体および雰囲気、(5)Al内の機械的歪。なお個々の元素の効果は後報に委ね、ここでは前記諸因子と粒界腐食の関係について述べる。とくに粒界腐食に着目するのは局部腐食が原子炉材として致命傷となる上に腐食機構解明に興味ある現象であるためである。
加藤 千明; 相馬 康孝; 上野 文義; 岡田 聖貴*; 蝦名 哲成*; 加納 洋一*; 中山 準平
no journal, ,
現在開発が進められている、高耐食性ステンレス材料SUS310EHP鋼の粒界腐食評価を行った。SUS310EHP鋼は不純物元素を低減することで耐粒界腐食性を向上させた高Crステンレス鋼である。沸騰硝酸中における粒界腐食試験から、ステンレス鋼の粒界腐食は微量元素のうちボロンの影響が顕著であることが明らかになった。微量元素を低減したSUS310E HP鋼は耐粒界腐食性が高く、沸騰硝酸中での高耐食材料として有望であることを明らかにした。
五十嵐 誉廣; 小松 篤史; 入澤 恵理子; 加藤 千明
no journal, ,
使用済み核燃料の再処理工程では酸化性金属イオンが溶解した高濃度沸騰硝酸が用いられるため、機器を構成するステンレス鋼にとって非常に厳しい腐食環境であり、粒界腐食を引き起こすことが知られている。再処理機器の長期安定運転や材料の寿命予測のためには、粒界腐食による数十年に渡る腐食量の予測が必要であるが、従来の数日間程度の腐食試験結果からの長期腐食量の推定は誤差が大きくなるため正確性の向上が課題とされてきた。そこで本研究では、セルラーオートマタ粒界腐食モデルを用いて短時間腐食試験の実測データをパラメータとする粒界腐食量の予測を行い、長期モックアップ試験結果との比較により長期腐食量予測の評価を行い、短期間の腐食試験からより正確に腐食量を予測できるようにした。